嘆きつつ ひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る(右大将道綱母・拾遺集)

嘆きつつ ひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る(右大将道綱母・拾遺集) 


百人一首に採られているくらいだから名歌なのだろうけれど個人的に好きになれない、そういう幾つかの歌の一つである。 


いかに久しきものとかは知る…。 和歌にはこういう結び方はよくある。僕はこれが修辞法だと分かっていながら嫌な気持ちになるのだ。 


「…とかは知る」=あなたに分かるかしら、どうせ分からないでしょうねぇ…。 

こういう物の言い方をされると、僕の神経は少なからずささくれ立ってしまう。 


あなたには理解力がない、洞察力がない、要するにあなたには思いやりがないのよ…とばかり、身も蓋もなくこき下ろされているような気持ちになる。 僕という人間に見切りをつけられ、会話を一方的に寸断されてしまう感覚だ。 


たぶん…確かな記憶があるわけではないけれど、僕にはそういう 見捨てられ体験、見切られ体験が積もり積もっているのだろうと思う。 そして「あなたにはどうせ分からない。」と判定されるに至ったには、僕の側にそれなりの原因があるはずなのだ。 


無意識のうちに、その原因を僕は自分で分かっているに違いない。